あの頃の/蒼木りん
 

緑のカバーも外されて
セピア色とは こんな色か 
というふうに変色したぺージが
いっそ 哀しい

もしも
読み手のこころを捕まえようとして書かれたのならば
元々が死んでいるという危惧は否めない
世間に出すものならば 多も 少も 有りうることだろうが
感情の原型が 崩れていない
より その こころ模様に近づくべく描写されたのであるならば
それは妙て他人のこころを捕らえる
絵画と似ていると思う

詩の
短い文字の列がすきだ
しかし
すべての「詩がすき」ではない

私は
本当は一途なのか それとも
不勉強の成果で この年になっても
この詩集以外に 残るも
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