孤独な感受性/佐藤
割り切ってしまった人間は、社会に適応することは出来るかもしれないが、本質からは遠ざかってしまう。思春期の間に抱えていた矛盾は、一生たっても消化できないことなのだから、悩むことを止めてしまおう。これは責任ある大人としては正しい判断と言えるだろう。しかし、矛盾を矛盾として抱え、それを一生抱えながら生きていくことこそが、「境界に佇む姿勢」であり、私の思う強い人間とは、そのような人間である。
人は、言葉を使いこなせば使いこなすほど、孤独になっていく。
言葉だけに頼るコミュニケーションの如何に空虚なことか。言葉は決して本質に近づくことが出来ない。そして、その中で生まれた孤独な感受性は、詩と
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