面接(18)/虹村 凌
区画を出ようとした。その瞬間、何かに後ろ髪を引かれるような感覚に陥った。ただ単純に、濡れた石で足を滑らせたのかも知れない。とにかく俺は、ひっくり返って、後頭部を激しく打ち付けた。頭の裏で、何かヌルヌルするものが首筋に伝わっていくのがわかる。あまりよくない事だと思うけれど、体が動かない。あぁ、俺、まずいな。女の墓石の方に手を伸ばす。なぁ、俺、これって不味いよな。そう言おうと思っても、声が出ない。視界がどんどん暗くなっていく。俺が不安そうに顔を覗き込んでいる。そんな顔するなよ、やばいけど、多分大丈夫だって。だから、そんな顔するなよ。
色々な声が聞こえてくる。頭がガンガンする。吐き気もする。回りに
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