面接(17)/虹村 凌
 
横になった。俺はそれを見届けてから、リビングのソファを起こし、その上に座った。暗い部屋の中で、真っ赤な煙草の先端だけが、異様に光って見える。床にツバを吐いて、その上に煙草を落とした。ジュッ、と言う音を聞いてから、俺は目を閉じた。明日の朝は、どんな朝だろうか。ちっとも予想がつかない。残酷な匂いのする期待に胸を躍らせて、俺は深い眠りに落ちていった。

 目を覚ますと、相変わらず部屋は散らかったままだった。俺は普段着のまま寝ていたようで、時刻は出社時間丁度を指していた。勿論彼女は、既にこの部屋にはおらず、俺はとりあえず、セブンスターに火をつけた。携帯を手に取ると、彼女からの着信が何件もあった。職務
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