宇宙のボレロ/雨を乞う
 
 

いつの日か届くと疑わなかった僕らの文明が崩壊していくのだとしたら、
今密かに繋いでいた手を解こう。
肌を寄せ合うだけで満足なら受理されない契約書を破ろう。
叡智を極めてもあの巨(おお)きな樹に敵う訳もなく、
ほら御覧!
ここにいるよと振り乱した旗が悲しき空白を裂く。

燃えた空、
断絶した金属片、
稀有な地、
天体図のインクが僕の精液で滲んでしまったら、
宙を泳ぐ片端の水晶体(LENS)がひとつになる。
不可思議な月を臨む夜のような気持ちのまま無影灯の下で焦がれた潮(うしお)。
舟は着いたか?

   そうか、それはよかった。



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