にんげんの穴/北村 守通
から。
そうして穴だらけになっている文字という存在を再現して検証しようとしてみても、その穴に何を入れるのか、ということでまた変換の際のズレが生じる。
こうした穴の作り方、穴の埋め方は話者あるいは読者の経験や嗜好によって左右される。それは意識的なものであったりもするし、極めて無意識的なものだったりもする。
例えば、公式という中立的に見える存在も、現象をテーマを絞って抽出する、という意識的な操作によって生み出されたものであるし、実は矛盾をあえて利用することによって現実にフィードバックされているものもあったりする。
だからこそ、穴の存在はその人の個性や視点といったものを想像させてくれて面白
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