にんげんの穴/北村 守通
実存があり、実験という検証を何度も行うことが出来る。そして多角的に変化させたり、視点を変えてデータを取り直すといったことが行いやすい。
しかし、文章を読む、文章を書く、ということになってくると更に難しくなってくると思う。現象や心情を文字に変換するという行為の中で必ず穴が存在するし、それを読む者の認識領域によっても左右される。また、ある現象や心情を効率よく伝えようとする場合、あるがままを言おうとするより、もっとも特徴的なものを抽出してまとめ上げるというデフォルメが必要だったりする。そこには当然話者が想定しなかった穴が存在したりもする。だって話者には話者自身の認識領域を超えることはできないのだから
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