風のオマージュ その1/みつべえ
 
のなかの空洞
 沢山の眼がじろじろそれを見るだろう
 がやがや声がそれをとりまくだろう
 恥辱を受けるものよ
 二度と姿を見せない美しい深夜の逃亡者


 かくて「少女」と「逃亡者」との、いわくありげな関係に想像力をかき立てる私(読者)がはじまる(笑)。そもそもこれは何のことを書いているのでしょうか。放火事件みたいな。あ、放火現場から逃走する犯人の姿が見える。それは少年です。少年だって? 「少女」の対置としての「逃亡者」は少年にちがいない。少年にとって「少女」の家に「火」を放つことは神聖な儀式だったのかも。通過儀礼のようなもの。思春期の妄動。純潔との別れ。畢竟、それは詩人の内面で繰り
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