風のオマージュ その1/みつべえ
繰り広げられる影絵のドラマ。美しい夢。
ああ、けれど、それも「あした」になれば汚されてしまう。
沢山の眼がそれを見るだろう
がやがや声がそれをとりまくだろう
一夜明ければ、詩人の作品そのものも「焼け落ちた家/石壁のなかの空洞」にすぎないのです。
恥辱を受けるものよ
そして全行を受けとめて比類なくすばらしい最終行がくる。これまでの言葉はすべてこの1行の詩句のためにあったといっても過言ではありません。思わず声をだして読み終わる。
二度と姿を見せない美しい深夜の逃亡者
●黒田三郎(1919〜1980)
広島県生まれ。戦前は北園克衛主宰の「VOU」に参加・戦後は「荒地」同人として活躍。晩年は「詩人会議」に拠った。
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