風のオマージュ その1/みつべえ
 
お前は思う」とか「たえる」という言葉には、意にそまぬ生活をどうにか送っていくために無理やり意志的になろうとしているような響きがあります。後年の作品には顕著な感情で、こういうのもいいのですが、私のように生活にまみれている者には逆に生活感のない「逃亡者」のような作品が魅力的にみえるのでした。
 「逃亡者」は日常の文法では書かれていません。すごくファンタスティック、なのです。


 火はあかく染めるだろう
 窓影に立つ蒼白い少女のほほを
 火はあかく染めるだろう
 それは
 眼に見えぬどこか遠くの夜の町

 
 あした運転手や奥様や代言人は見るだろう
 焼け落ちた家
 石壁のな
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