風のオマージュ その1/みつべえ
 



 余りしづかで美しいので
 不安になりそうな
 夜の町
 そのどこかで
 一軒の家が燃えている
  

 読んだとおりのイメージが浮かびます。「夜の町」のどこかで「一軒の家が燃えている」。文体は平明。でも、どこかしら幻想的な雰囲気が漂っています。「余りしづかで美しいので」不安になりそうだというのですから。この感覚は詩集「小さなユリと」にも出てきます。

森の上の美しい日没/その異様なしずかさのなかで/お前は思う/もはやもとにかえることはできない/(「美しい日没」)

 そしてまた「月給取り奴」という作品では「僕はこの道のしずかさにたえる」とも書いています。「お前
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