彦蔵/udegeuneru
る際、彦蔵はそのように言うのである
彦蔵はデザインという響きに漠然とした魅力を感じそれを専攻した
そして勉強すればするほどデザインを嫌いになっていった
考えてみればよく調べもしないで進路を決めるその横着さがいけなかった
と彦蔵は今になって思う
しかし母親に甘やかされつづけた彦蔵が
渡る世間のことを何も知らないのは当然のことだった
常に何かに守られていると感じていて
人生のあらゆる選択を無責任に適当にすましてきたのだ
また周囲も同じように何も考えてないと思い
真剣に己の身や将来を考えるということをしてこなかった
夢や将来を語るのは作り話の中だけだ
将来のことなど誰も何もわ
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