アラスカ4〜物語のなかへ〜/鈴木もとこ
ものは、背の低い野生のブル
ーベリーが一面になっているものだったのだ。
口に数粒入れてみる。プチッとした感触のあとにさわやかな甘さとすっぱさが広がった。
「下を向いてずっと食べていると、熊さんも夢中になって食べているので、お互い気が付
かなくて会っちゃうことがありますよ。」なんてコリン君が話してくれる。本当かいなと
思いながらも、日が当たって甘そうなところを摘んでは口に入れた。
ブルーベリーの広がりのまんなかに、アラスカ鉄道の線路がまっすぐ伸びている。
囲いも何も無く、線路伝いに歩いていけそうだ。スタンド・バイ・ミーの1シーンを思い
出していた。このままいたら向こうから汽車が来
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