アラスカ4〜物語のなかへ〜/鈴木もとこ
 
物とともに車に乗り込んだ。
「よろしくお願いします。鈴木です。今日は何人参加なんですか」
「鈴木様だけですよ」
「へっ?」
聞けば他の旅行者はみんなガラス張り展望車両のついたアラスカ鉄道に乗って、目的地の
デナリ国立公園へ行ったらしい。電車代1万円をケチって車にしたのは私だけだった。
苦笑いしながらアラスカ2日目は順調にスタートした。
 アンカレジの市街地を抜けるとすぐに写真で見たアラスカらしい大自然になり、ツンド
ラと高い山の連なりが迫ってきた。山の頂上はもううっすらと白くなっている。「昨日寒
くて初雪が降りました。もう秋ですね」とガイドのコリン君(推定年齢26歳)がこれまた
[次のページ]
戻る   Point(3)