にわとり/山中 烏流
 
伝えられていた

しかし

知り合いの話によれば
まるでそんなことはなく
月が煌々とする時であれど
にわとりは
高らかになくものなのだ、という


だとすれば

隣人は
何を恐れて

ないているのだろう、か



     *



隣人のなきごえを合図に
私は
カーテンを開き
そして
その、光にくるまれながら
眠りに落ちる

それが、私の一日の
終わりだ



     *



{引用=隣人が
私の部屋を叩いて
なぜ、あなたはなかないのですか、と
尋ねてきた

あなたには
私がにわとりに見えるのですか、
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