アイスクリーム/アンテ
 
したけれど
あの時 二人とも
まったく平気だった

四歳と三ヶ月
ようくんはまだ一人で歩けなかった

エレベータがイヤだってようくん泣いたのよ
階段で転びそうになって
ようくんの両親が駆け寄ってきたけど
わたしがぴしゃって断ったの
そしたらようくん
急に駄々こねなくなったっけ
そうそう
一人で歩いてみるってようくんが言いだして
派手に転んだのよ
ちょうどこの辺だったかも

片手の手話は時間がかかる
ようくんはわたしの記憶のとおり
律儀に廊下に寝転んだ
目線が天井をさまよっている
ひんやり冷たくて気持ちよさそうって
思って
あの時わたしも
ようくんの
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