「戦争」の虚偽と「正義」の再構築−「存在の彼方へ」を読んでみる18/もぐもぐ
と空間を、人間の認識能力の「形式」として、人間の思考に必然的に伴う枠であると考えるのがカントの解決法であった。この考え方に基づいて、「全体」性のイデー(理念)は批判的に再検討される。その結果、「全体」性というのは、人間の「脳裡のみにある」ものとして必然的に生じる虚構であると、カントは解答したのであった。
戦争は、平和は、果たして「実在の」ものなのだろうか。それは人間の認識能力の「形式」、アプリオリな概念の使用が引き起こす、必然的な錯誤ではないのだろうか。戦争と言い、平和と言い、それは、人間が思考するときに必然的に伴わざるを得ない虚構ではないのだろうか。
「懐疑」論は、「戦争」と「平和」
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