「蟻と会話をする少女のお話」/ベンジャミン
 
てきくと、少女は
わたしに話しかけてくるのはその蟻だけだという

手のひらにのせると指のあいだや手の裏表を忙しそうに歩いて
そしてときおり立ち止まっては、いろいろと話をする(らしい)
あまり詳しくは知らないが、ちゃんと名前もあるのだ(らしい)



ある日
その少女が泣きながら教室に入ってきた
ぽろぽろと泣く少女に理由を尋ねてみると
なにやら蟻とケンカをしたということだった
噛まれたといって、人差し指を見せてくれたが
どこが噛まれた場所なのかわからないほどだった

そんなに泣くくらい痛かったのか?と僕が大人ぶってきくと
泣いている理由は他にあるのだと少女は熱心に話
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