「蟻と会話をする少女のお話」/ベンジャミン
蟻と会話をする少女といっても
それほど不思議な出来事ではない
むしろ日常の一部に自然と吸い込まれて
その自然ということにしっくりとくるのだった
その少女はサッカー部のマネージャーで
いつも決まった場所でボールひろいをする
そうやって飛んでくるボールを待つあいだ
いつも近づいてくる蟻がいるというのだ
その蟻は他の蟻と違ってその少女に話しかけてくる(らしい)
退屈か?と聞かれて、あなたは退屈なの?と
いいや働いているのだと返事がくると、わたしもと
そうやって毎日のように蟻と会話をしているという(らしい)
その話しかけてくる蟻は同じ蟻なのか?と
僕が大人ぶってき
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