4月11日の懺悔/高杉芹香
「何度も言わないで、悔しくなるから。」
って
あいつはバイクのエンジンをかけた。
華奢なあいつの背中はまた少し痩せたように感じた。
あたしはいつもワガママ言って
この子にガマンばかりさせているんだと思う。
夏の匂いのするあいつの背中にほんの少し顔をうずめていたら
なぜか泣きたくなった。
どうしてこの子と生きてくことを選ばなかったんだろう。
あたしは自分の正直なキモチが
わからなくなっていた。
5月を控えた街は少しざわめいていて
青葉に目がチカチ
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