慰めの匂い/プテラノドン
れていようが、何年前だろうが、
そこに立つことは難しくない。
日の落ちかけた道はずれで、おばさんたちは帰りの支度をする。
街に明かりが灯り、曲がり角毎に漂う夕食の匂いが
チリペッパーだったり、ミートビーンズだったり、通り名に変わる。
そして道行く人々、おばさんたちももれなく
ポケットから慰めのガムを取り出す。そのすきを狙って
僕もまた、ガムを一枚もらう。彼女らは僕に
好きな味を選んでいいという。僕は彼女らに習って
好きな形にガムを膨らませる、それからすぐに
萎ませるか破裂させる。
軽快な破裂音が、町のそこかしこで聞こえる。
陽気な楽団。行進しながら帰宅する。そのお終いと
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