嘘についての断片/健
「甘い」
あなたのいれてくれた
コーヒーは
飲めば飲むほど
のどが渇くのです
もっとくださいもっとくださいと
求めているばかりで
私は一日中
コーヒーを飲むことしか
できないのです
※
「ありがとう」
優しい人たちに謝りながら暮らしていると
いつの間にか周りに誰も居なくなっていました
床一面を埋め尽くした
「ごめんなさい」を見渡した
彼女にはもう
散らかった部屋の掃除しか
することが残っていませんでした
長い長い時間をかけて
長い長い間言えなかった言葉を口ずさみながら
いろんなごめん
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