嘘についての断片/
 
めんなさいを
はいて捨てました
ゴミ箱へ捨てました

その間も
優しい人たちは 優しい人たちのまま
ゆっくりと 育っていきました



西の空の上を
オレンジ色の予感が歩きはじめるころ
床一面を埋め尽くした
新たな言葉たちを見渡して
彼女にはもう 
することが残っていませんでした

誰もいない部屋の中で
静かな嘘だけが小さく響いていました









「背中を向けて」


最低の嘘

愛しているうちに
いつしかそれは
カレンダーに紛れて
去って行きました

身勝手な私から
開放され
それはもう
本当に

本当

輝いていました


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