わたしの時代/小川 葉
 

生まれた時からそう言われてきて
嫌な気持ちだった
同時に
家業を継ぎさえすればいい
と言う理由だけで
甘やかされ
贅沢を許されてきた
自分の幼少時代にも
いつしか気持ち悪さを感じ始めていた

みんな大好きだった
けれども何かが違っている
わたしではないわたしが
わたしとして
わたしよりもわたしらしく生きている
本当のわたしはどこにいるのか

本当のわたしは今ここにいた
まもなく四十歳になって
自分で選び取ってきた
やり直しのできない人生の
海洋の真ん中に

祖父は死んだ
家業は倒産して父も年老いた
従業員だったおじさんたちも
亡くなったり

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