抹殺されるもの、若しくは現れないことの功罪−「存在の彼方へ」を読んでみる17/もぐもぐ
 
から消し去っている。また「言葉」は、空気振動としての音、紙やインクとしての文字を、舞台から消し去っている。

勿論これらの「舞台から消し去られたもの(主題化されざるもの)」も、視覚の場合と同じように、時間と記憶によって回収されていく。「言葉」だけでなく、空気振動としての音や、紙やインクとしての文字を意識する瞬間があるが故に、その記憶が「私は『言葉』以外の部分もきちんと見ている」という意識を生む。視覚の時と同じような「全方位」についての意識が生まれる。実際には一度に1/3しか見ていないにも関わらず。


考えることは言葉について考えることに他ならないとか、考えていること、思考こそが大事なの
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