あたしの町へ/柊 恵
…
押さえれなくて
あたしは吐いた
今は小さな防風林
ママが子供の頃までは
そこは深い森だった
******
「一二三…十一 十二…夏奈子!」
また呼び捨て。
あの人、何なの?
「一人足りない、いないの誰だ?」
目をあげ数える
苦味が残る口のなか
あれ?
瑞穂ちゃん…
「瑞穂ちゃんがいない!」
みんなくっつき歩いてた
四角い穴に落ちたのは
あたしの他に三人だった
その中に
瑞穂ちゃんは居なかった
あたしにしがみついてたのに…
穴の中を見回して
そこには誰もいなくって
お墓が あたしを見つめてた
見
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