あたしの町へ/柊 恵
心のトゲが鬱陶しい
「臆病者の夏奈子ちゃん」
いじわる年上 男の子
あたしだって5年生だよ
年少さんまで笑ってる
「何が あっても知らないから!」
きっと後悔するはずなのに
みんなは入る森の中
ひんやり空気が頬なでる
照りつく日差しは
どこへ行ったの?
がさり がさりと
一歩ずつ
胸の どきどき
止まらない
ぴんと空気が
張り詰めて
みんなの鼓動も
聞こえそう
「夏奈子、みんなで13人だぞ」
気安く呼んで欲しくない
あたしは知らない あなたの名前
振り返ると
怯えた小さな瞳たち
先へ先へと
歩いてく
早く森から出なくっちゃ
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