あたしの町へ/柊 恵
バカな遊びは終わらせよう…
もうどれくらい
歩いたの
歩いても
歩いても
歩いても
歩いても
森から外に出られない
防風林は狭いはずよ
たとえ道に迷っても
こんなに歩くはずはない
不安が胸をしめつける
「お姉ちゃん、もう帰りたい」
かわいそうな瑞穂ちゃん
あたしのスカートぎゅっと掴んで
「大丈夫よ」
そっと髪を撫でたけど
声の震えは隠せない
行く手を遮る白い霧
あたしたち、どこにいるの
早くしないと日が暮れる
夜まで森に いるのは嫌
あっと
視界が開けたら
足もと広がる
四角い穴
「ちょっと待って、押さないで!」
言った
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