中学受験の会場にて 【小説】/北村 守通
ある時には私の生命活動の維持のための一部として利用させてもらうこともあった。ここでも私は選別していた。もとの世界に戻された彼らあるいは彼女らが何を感じるかはわからなかった。そこから先は私とは接点の無い世界の話であった。ただ、私の体温に触れることによって火傷することがなかったかどうかは心配だった。つとめて注意はしているつもりだったが、その結果を確かめる術はなかった。彼らあるいは彼女らにとって、私は数少ない接触を強要された人間だったかもしれないが、私にとってはそうではなかった、ということもあったのかもしれない。私の脳は魚たちを留めておくプールとはなり得なかった。彼らあるいは彼女らはそこからすっと上流の
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