中学受験の会場にて 【小説】/北村 守通
思われた。出荷作業の際の検品よりも明確な基準の下にそれらは選り分けられてゆくのだろう。そうした作業は適度な緊張を生み、また適度な緊張は後に人に充分な達成感を与える。私は少しばかり彼らあるいは彼女らが羨ましいと思った。
近くの三面護岸された川と呼ぶには小さすぎる水路で水面を流れる何かを捕食する音が聞こえた。それは単発のもので何によるものなのかはわからなかったが、少なくともその水路内になんらかの魚が生息しているということだけは確かめられるものであった。あまりに天気がよく、温かく、時折ほほをなぜる風が気持ちよかったので、私は自分の手元に愛用のフライロッドがないことをひどく後悔した。無性に釣りがした
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