宿題/藤坂萌子
なんで千切れていたのかな
あのバス停には、蝉のからだがおちてた
きっと、
もう何回も死んだのだとおもう
されるがままになっている時は、
「どうかあなたに触れさせて」と手を伸ばしてる気持ちになる。
でも、触れたい、というのとは、微妙にちがうみたい。
片手のないねこのお引越しのはなしをきいて、
きみは、
ぼくにはよくわからないな、と言った。
今なら、もう、どうでもいいと思える
きみには、わからない。ただそれだけのこと。
きっと、もう何回も死んだのだとおもう。
お湯を張ったホテルのバスタブに浸かって、
買ってもらったアイスを食べた。
いちばん、すきな乗り物は
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