けふのうた(散文バージョン)/みつべえ
んどん下って途中酒屋で缶ビールを買う。
しっているかな。缶ビールを味わう最上の方法を。
それは歩きながら飲むことにつきる。
一本目がカラになるころには別の通りをぶらついていて、よくできているもので、ちょうどそのあたりにまた酒屋があり、もう一本、そして一本と飲みついで行くのだ。
酔いがまわるにつれ、無数の妄念が意識の底から浮上してくる。けれども、すぐ日光消毒されるので(今日は、わが内なる少年の虫干しには、うってつけの天気だ)私は自分の人格をいつでも一定のパターンに保つことができる。社会規範から逸脱しないかぎり、私のどんな奇矯さも洒落にすぎないのだ。
せいぜい変人といわれるくらいか。
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