思いについての断片/
 


その音を聞いた誰もが
目を閉じて
銀色のドアノブに触れ
伝わる熱を確かめている






「記憶」

夜を過ぎるとしだいに秒針の回転は速度を増していった
目が回るようなスピード というのを僕たちは体験する
古いものは全て振り落とされ
四階下のコンクリートで花瓶のような音を立てる
飛び散った破片はどれも変わらず白く
そして飛び散ったそばから消えていく
落下した先に通行人が居ないことを確認しながら
僕はベランダの手すりにしがみ付く
部屋にあふれ出るものを整理しなければならない
そんなときだと言うのに
君は静かにコーヒーを飲みながら
明日にたどり着
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