生かされていることへの感謝としての宗教/レヴィナスの宗教哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる16/もぐもぐ
 
には、その個々人の人生観・人生経験等に委ねられている。

自然対個人というロジックを採用することの意味は、自然の意志は人間には支配不可能だという点にある。自然は初期条件であり、能産性である。自然が次に何を作り出すか、自然が次にどう動くかは、自然科学により一定範囲は予測・コントロール可能であったとしても、終局的には人間の自由を離れている。自然は、その能産性において、常に人間を「超越」している。人間は、細胞が次の細胞を作り出す諸条件や周期、メカニズムを解明することが出来たとしても、その細胞を利用せずして、新たなる細胞を生み出すことは出来ない。人間に可能なのは、自然の諸力を「利用」することだけである
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