生かされていることへの感謝としての宗教/レヴィナスの宗教哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる16/もぐもぐ
 
得ない。無限から限定されたものは生じ得るが、限定されたものから無限は生じ得ない、古代ギリシア人は恐らくそう考えた。<無限>は全てのものを生み出す力である。そしてその力は、経験上の存在としては、宇宙、ないしは「自然」の力がそれに対応する。
個々の自然は勿論有限なものであるが、自然の全てを、自然全体を一つの集合として、抽象化した力として捉える場合には、自然は「無限」である。「無限」の力は、実在の「自然」の能産性を概念化したものに他ならない。要するに、<無限>という語は、概念的には、無限定的な、無制限な産出力であると同時に、その実体は「自然」という語に置き換えることの出来るものである。
従って上の引
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