生かされていることへの感謝としての宗教/レヴィナスの宗教哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる16/もぐもぐ
 



「顔」とは何かというと、それは「人間」を意味するものである。もう少しフェアに言えば、「顔」とは「同族」(レヴィナスの言う「兄弟関係」(p39))を意味する。例えば人は、魚や鳥の顔を見分けることは(原則)出来ない。また慣れ親しまなければ、動物の顔も見分けることは不可能である。「顔」が、単なる「頭」でなく「顔」として認識されるということは、そのものが同じ種の他の個体から区別して認識されていることを意味する。「顔」の認識は、私がその者と同じ種族であることを保証すると同時に、私とその者が自己/他者の関係に立っていることを意味する。「顔」は私に、私の「同族」を告知するのである。

「顔」=
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