生かされていることへの感謝としての宗教/レヴィナスの宗教哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる16/もぐもぐ
 
」=「同族」は何を語っているのか。それは、「殺すな」という命題である。同族とは何よりも、殺してはならないものの謂である。いかなる動物も共食いをすることは(原則)ない。あるものが同族と認識されている限り、そのものはいかなる理由があれ殺してはならないものである。「顔」=「同族」は、論理上、「責任」という命令を告知しているのである。(人間は人間同士殺し合うと言われるかもしれない。だがそれは、「同族」同士殺し合っているのではない。殺し合いをする同士には、常に、相手を同族から区別するための理屈が立てられている。曰く、相手は人間ではなく野蛮人である。相手はゲルマン人ではなくユダヤ人である。相手は日本国民ではな
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