生かされていることへの感謝としての宗教/レヴィナスの宗教哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる16/もぐもぐ
とするにもかかわらず、なぜか私に安心を与える。それは私が私自身をコントロールすること、私が私自身を合理的に管理できるということを、承認し保証するからである。対して、レヴィナス的、あるいは宗教的なロジックは、それが「存在の彼方へ」私たちを導くものであるにも関わらず、なぜか私に不安を与える。それは私が私自身をコントロールすること、しうることを否定する。私は、ひょっとしたら私に害を与えるかもしれない自然ないし他者に、私の身を委ねざるを得ないのである。
だが実際のところ、純論理的に考えれば、レヴィナス的、宗教的なロジックの方に、分があると言っていいのではなかろうか。私は数十億個の細胞から成り立ってい
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