生かされていることへの感謝としての宗教/レヴィナスの宗教哲学−「存在の彼方へ」を読んでみる16/もぐもぐ
 
世界に対して無防備であるということである。私は世界に対し「無警戒」である。これはつまり、私が世界に対して赤ん坊のような状態にあるということである。赤ん坊は何も考えずに世界を受け入れる。赤ん坊は世界に対し喜び、そして力一杯泣く。その泣き声が、危険をおびき寄せる可能性すらあることも考えずに。赤ん坊は世界を「無条件的に」「信頼」している。「信頼」という語が能動的な判断を想像させる不適当な語であるというのなら、世界に「身を浸している」「身を任せている」と言っても良い。赤ん坊は世界に身を任せている。「警戒」若しくは「意識」を働かせていないとき、人は世界に自分の身を委ねるのである。

「警戒」若しくは「意
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