祖父と出会う/オイタル
ゃもうお前
聞いてんのか こら」
雨戸を開けようとすると
いっせいに
身じろぐ老人
老人たちに挟まれて
祖父が笑っていた
ようやくそばまで近寄って
「あのときは
何も言わないでいってしまって」
というと
「もうずいぶんと長くなった」
そう言って泣き出しそうな祖父に
暖かい痛いものが体中からにじみ出して
僕を満たそうとするので
声に出さずに
泣いた
夜
許可をもらって外へ出た
首の曲がった祖父と二人で
黙ったまま屋根にぶら下がり
夜空から庭を見下ろす
背の高かった祖父は
ぼくの肩の高さほどになった
鳥小屋の上で
補助椅子付きの自転車が
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