鼻行生物ナゾベーム/かめたろう
物質として存在しないなら何を失えば魂尽きるのだろうか。
己(おれ)は鼻に血流と魂を通わせて歩く。
いや、ちょっと違うな。
通わせるんじゃない、考えなくとも勝手に通う。
己の五体を魂は自由にめぐる。
こうやって幹に腰掛けても己の魂は樹に移ったりはしないが、
幹より木剣を切り出して鼻に握って5年も振るえばおそらくそれにも魂は宿る。
ということは魂は割り分け与えることもできる物なのか、
木剣に在る片割れは己なのか己でないのか、
己の自由になるわけではないがやっぱりそれも己だと思う。
生きている限りそうやって己の魂が
そこかしこにいっぱい拡散していくの
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