殺さないものとしての同族−「存在の彼方へ」を読んでみる15/もぐもぐ
 
おいて、「人間」を自分と「関係のある」ものとして選別している。「殺人」という言葉は、人と人との間の潜在的な「関係」性を含意している。
殺すことが出来ないのは「物」である。物は破壊したり抹消したりは出来るが、「殺す」ことは出来ない。物に対して責任を負うということはない。「物」は、人間との本来的な「無関係」性によって定義されるのである。この点典型的なのは「石」だろう。石は人の目に留まらない、それは人間とは「無関係」なのである。
或いはもう少し細かく見ると、「殺す」ことは出来ないが「死ぬ」ことが出来るものもある。それは「植物」ないし「自然」である。植物は枯死したりすることが出来るが、「殺す」ことは出
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