殺さないものとしての同族−「存在の彼方へ」を読んでみる15/もぐもぐ
 
然」的なものではないとは言えるかもしれない。狼すら、群れで暮らし共食いは原則的にはしないだろう。この意味では、よくよく考えれば、「責任」の先在性を主張するレヴィナスの方が、実は分があると言えるのかもしれない。


例えば、「責任」を「殺すな」という命題に置き換えてみてはどうだろうか。
「殺すな」という命題は何を意味しているのかというと、殺すことの出来る可能性を持っているにもかかわらず、それを行ってはならないということである。
自分と無関係のものは殺しようがない。「無差別殺人」というものもあるが、これも、「殺人」しようという意思、即ち物ではなくて人を殺そうとする意思が含まれている限りにおい
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