殺さないものとしての同族−「存在の彼方へ」を読んでみる15/もぐもぐ
ものである。これは人間をそのように作った神、若しくは人間をそのように導く神を信頼しているからこそ、そのように断言できるのではなかろうか。自然を征服すべきものではなく、自然に身を委ねる、神を設定する宗教は多かれすくなかれそのような要素を包含すると思われるが、レヴィナスもそのような宗教的な前提に立つからこそ、このような議論をすることが出来るのではないだろうか。
けれども逆に、ホッブズの議論は、「自然」を征服する人間の力、「人工物」「機械」を作り上げる人間の力に大幅に依存している。それは人間の中の「自然」を認めない。若しくは人間の中の「自然」を、「万人の万人に対する闘争」のような、ある意味「歪んだ
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