殺さないものとしての同族−「存在の彼方へ」を読んでみる15/もぐもぐ
 

この点を考えるに当たって、気になるのが、レヴィナスの言う「兄弟関係」という語である。(「他者の自由に対して責任を負うた私の責任・・・人間同士の驚くべき兄弟関係」(p39))また、「他者に対する責任とは、主体性という非場所が定位される場所であり、「どこ」という問いの特権が失われる場所である」(p40)とも言われている。責任、即ち「兄弟関係」と、「主体性」の成立は、ある意味同時的なものとして捉えられているようである。

哲学一般の問題としていえば、自己/他者の問題と言い換えることが出来るだろう。自己/他者は、一体どのようにして成立するのか、現象学をはじめ様々な哲学が問うてきた。レヴィナスは、直
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