あなたは僕の/小川 葉
った
僕らは卒業し
子供ではなくなり
働きはじめ
それでも何度か会い
会うたびに
その回数は減っていった
僕らはにわかに
大人になりはじめていた
僕らはそれぞれ結婚した
それでも電話したり
「おすばらしい夜を」の店で
会ったりさえもした
ある日
前触れもなくあなたは消えた
電話はもう通じなかった
空家になっていた
友人たちに尋ねても
誰も知らなかった
僕の中であなたは
あの日死んだも同然だった
と、ここまで書いて
この詩を今
あなたが読んだなら
きっと笑い飛ばすに決まってる
ふと、あなたは
僕の目の前にあらわれて
きっと笑い
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