さがしつづけてしまう/石川和広
 
深く心配である
そういうつまんない一瞬の断崖が
見えてくる

あたりまえのように放つ私やあなたの言葉の中に
私とあなたの混ざり合ったやさしい空気の中に
互いの瞬間の生成りの中で間違いや鈍感を感じ取って
不思議ではなかった


不思議だとしたら
雨が降るときも
どこかに息を潜めながら
くすぐりあう生き物がいることであり
掛け違えた何かを
すこしずつ埋めていく音や光があることだ

それが慰みとなって
それだけでよくわからないまま私たちは
ここに別々に取り残されている
それで何が足りないと私は言うのだろう

道のひび割れや
錆び付いた屋根のある
もう崩れた
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