暗号/土田
取れるほどの日本のゴッホでも
ましてや裸の大将ではなかったので
目の前のいかにも語頭に超を多用するような娘に
理由なくに嫌われていそうなのっぺらぼうの
あたまのバーコードを毛の一本一本まで再現していった
思えば小学校四年の夏だった
家の台所の天井から
びーろんと伸びたガムテープみたいなやつ
そのガムテープみたいなやつに
びっしりと蝿が散りばめられてあった
それを夏休みの自由研究として
しぜんのせつりという題名で学校へ持っていったら
ヤニとコーヒーのにおいで年中むんむんしている
剛毛の先生に重い拳骨のとともにたくさんの唾を食らった
通信簿に教師や目上の人に対して
あいさ
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