十四年目、述懐/明楽
日常にも問題はなかった
四時間目が始まる前
クラスメイトの男子が教室に飛び込んできた
「神戸の地震、めっちゃ酷い」
職員室でテレビ中継を見たらしい
どれくらい?と
誰かが聞いたけれど
彼の強張った顔が言葉よりも早く
みんなに被害の大きさを伝えた
急に教室の空気が粘り気を帯びた
忙しい高校生の朝
一生懸命ニュースを見てから登校
なんてしない
みんな片手間に聞き流していた
だから教室はいつもと変わりなくて
わたしは神戸に郵便を出して
でもそれは知らなかっただけで
ちらりと目にした神戸の街並みは
どれくらい壊れていたっけ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)