夢のなか/アンテ
きた時には参った
もちろん と
付け加えて彼女はひとさし指を立てる
居眠りや内職をするのはようくんの権利よ
ただしバレなければね
教室のいちばん前の席で寝る奴なんていない
って反論したら莫迦にされた
要領次第なのだそうだ
要領
キライな言葉だ
夢がようやく途絶えて
瞼を押し開ける力が回復する
いつもの白い天井ではなくて
肌色と深い茶色が目に入る
それはゆっくりと遠ざかって
モザイククイズみたいに鮮明になって
彼女の輪郭ができあがる
ごめんね
の形に彼女の唇が動く
なぜそんなことを言うんだろう
わからなくて
手に力が入らなくて
思わず顔をそむけてか
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